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【京都の寺社】宝厳院

 さて,京都の寺社シリーズの2回目なんですが,結構難しいですね~。今,見返してみると,自分が撮った写真がもう一つよろしくない…。もうちょっとうまく撮ったつもりなんですけど…。滝汗それでも,とにかく今回は嵐山の宝厳院です。宝厳院は天龍寺の塔頭(たっちゅう)です。塔頭というのは,禅寺などの歴代住職の墓を守るために建立される寺院ということです。まぁ,付属的な要素の強い寺ということでしょうかね。微笑

 今回もとりあえずパンフレットを…。『大亀山宝厳院は臨済宗大本山天龍寺の塔頭寺院で寛正二年(1461)室町幕府の管領細川頼之公により天龍寺開山夢窓国師の第三世法孫聖仲永光禅師を開山に迎え創建された。創建時は,京都市上京区に有り広大な境内を有した寺院であった。応仁の乱により焼失したが再建され天正年間には豊臣秀吉より御朱印料三十二石を付与,徳川幕府も明治に至るまで外護した由緒寺院である。その後,変遷を経て天龍寺塔頭弘源寺境内に移転の後,現在地(旧塔頭寺院跡)に移転再興された。』

 上述の細川頼之は,室町幕府の三代将軍となった足利義満が幼少のときに補佐した人物のようです。この宝厳院の庭は,獅子吼(ししく)の庭といい,室町時代に中国に渡った禅僧である策彦周良禅師によって作られた,借景式枯山水庭園というものだそうです。嵐山を借景としたということなんですが,借景の写真は撮ってなかったなぁ…。門前に「嵐山羅漢」という群像があるらしいのですが,それも撮ってなかったし…。
 「獅子吼」というのは,「仏が説法する」という意味で,獅子吼の庭の中を散策して鳥や風の音を聴くことにより,人生の真理・正道を感じて心が癒されるということらしいですね…。なかなか人生の真理は分かりませんけど,そういう風景は好きです。笑顔
 とりあえず,あとでパンフレットを読み返してみると,いかにいい加減に参拝していたか分かりますねぇ…。滝汗

宮城球場の命名権

 最近は国会の空転が大きなニュースになっていますが,ちょっと気分が重くなりそうなので,こちらの話題に…。滝汗

河北新報(2008年03月05日)
「Kスタ」ロゴ決まる 新看板の下飛躍の年に

 楽天野球団と日本製紙、宮城県は5日、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「クリネックススタジアム宮城」(仙台市宮城野区)のロゴマークを発表した。今季のパ・リーグが開幕する20日までに、球場正面とスコアボード上に看板を設置する予定。 球場の命名権(ネーミングライツ)を取得した日本製紙のグループ企業が製造、販売するティッシュペーパーの商品名が基調。宮城県旗や県章に使われるグリーンと、球団チームカラーのクリムゾンレッドを配した。Kスタ宮城で記者会見した球団の池田敦司副社長は「愛称がきっちり決まり、安堵(あんど)している。パ・リーグ優勝と日本一を目指し、力戦奮闘する」と話した。
 球場愛称は当初、「日本製紙クリネックススタジアム宮城」だったが、日本製紙による古紙配合率偽装が発覚。宮城県は2月、愛称から日本製紙を外して契約を継続することを決めた。
 日本製紙は会見に同席せず、「看板を掲げる責任の重さをあらためて実感している。優勝の大目標に向かって、球場で活躍されることを祈ります」とコメントを出した。

 宮城球場は,人材派遣会社のフルキャストが命名権を購入して,2005年3月から「フルキャストスタジアム宮城」と呼ばれてきたわけですが,例の違法派遣の発覚によって契約解除となった経緯がありますね。
 ということで「クリネックススタジアム宮城」ですか。古紙配合率偽装の件があって,当初の名称から「日本製紙」をはずしたそうですが,とりあえず発音しにくいような気がするんですけど…。アナウンサーも急いで原稿を読もうとすると「クリネックスススス…」となってしまいそうな。まぁ余計な心配なんでしょうが。微笑

 命名権については,「味の素スタジアム」や「Yahoo! BB スタジアム」(その後「スカイマークスタジアム」)が登場してから,一躍脚光を浴びることになったようです。西武ドームも名前が変わってましたね。宮城県ではこのあと続々と命名権を導入する予定なんでしょうか。宮城県民会館はこの2008年4月から「東京エレクトロンホール宮城」となるそうです。業界で名前が通っていても一般には無名な企業もありますし,そういった企業にとって命名権の購入は,大々的に名前を売り込む機会となりますよね。

 そう言えば,大阪にもありましたね。「大阪ドーム」から「京セラドーム大阪」へ。最後の「大阪」って何…という感じです(これは宮城球場でも同じですが)。「大阪京セラドーム」とか「京セラ大阪ドーム」というならまだしっくりきますけど。まぁ,スポンサー企業としては「京セラドーム」と呼んで欲しいというのがありますし,地元の意向も無視できないということで致し方ないのでしょうか。という訳で,私は今でも「大阪ドーム」と呼んでいます。「京セラドーム」と言っても通じないことが結構ありますから。笑顔
 (内輪の話ですが,この人も,「大阪ドーム」と呼んでいました。)

【京都の寺社】天龍寺

 前回の「日本の神仏」という記事を書いていたら,そう言えば数年前に京都の寺社一気めぐりというようなことをやったことがあるなぁと思い出しました…。以前は京都に住んでいましたけど,長い京都での暮らしの中でも数多くある寺社には全然行ってなかったことにふと気づき,ぶらっと出かけたのでした…。笑顔
 そのときに撮りためた写真もあることですし,ここで蔵出しするのも悪くないかな…という安易な考えのもと,京都の寺社シリーズの記事を衝動的に思い立ちまして,とりあえず嵐山にある天龍寺から…。寺社に関する詳しいことは,当時拝観したときにもらったパンフレットなどに頼るという,全くの他力本願です。とりあえず,飽きるまでやってみましょう…。滝汗

 で,さっそくパンフレットをめくります。『天龍寺。臨済宗天龍寺派大本山。正しくは霊亀山天龍資聖禅寺で,京都市右京区嵯峨に位置する。1339年(暦応2),吉野で亡くなった後醍醐天皇の菩提を弔うために,足利尊氏が夢窓国師を開山として創建した。この地は檀林皇后(嵯峨天皇の后)が開創した檀林寺のあったところで,のちに後嵯峨上皇の仙洞御所・亀山殿が営まれた。後醍醐天皇はここで幼少期を過ごした。夢窓国師は堂塔建立の資金調達のため,「天龍寺船」による中国・元との貿易を進言し,1343年(康永2)にほぼ七堂伽藍が整った。夢窓国師の門流は隆盛し,天龍寺は京都五山第一位の寺格を誇った。創建以来,天龍寺は1356年(延文1)をはじめ,八回の大火に見舞われ,現代の堂宇の多くが明治期の再建。夢窓国師による庭園(曹源池)は,国の特別史跡名勝第一号に指定,1994年(平成6)世界文化遺産に登録。』

 後醍醐天皇とともに鎌倉幕府を滅ぼした足利尊氏は,のちに後醍醐天皇と対立して室町幕府を成立させたのですが,政敵であった後醍醐天皇の供養をしていたということなんですねぇ…。嵐山に観光に行くと,渡月橋を北側に行った先のとりあえずよく目立つ寺院が天龍寺で,嵐山観光の起点といった感じなんですけど,その歴史を気にする観光客はあまりいないでしょうねぇ…。嵐山を借景とした庭園を思い出す人は多いかもしれません。微笑

日本の神仏

日本の「神仏習合」に関して,ちょっと興味深い記事がありました。

京都新聞(2008年3月3日)
関西ぐるっと神仏巡礼

 「神仏習合」という日本の伝統的な信仰の再興を目指す「神仏霊場会」の設立総会が2日、大津市の延暦寺会館で開かれた。伊勢神宮(三重県)から延暦寺(大津市)までを125社寺でつなぐ巡礼の新モデルコース「神仏霊場巡拝の道」を創設して、人々の心の安定や社会平和に貢献していく。
 宗教学者の山折哲雄さんを中心に、石清水八幡宮(八幡市)や清水寺(京都市東山区)、住吉大社(大阪市)、法隆寺(奈良県斑鳩町)など関西の有名社寺が発起人となり、参加を呼び掛けていた。
 京都46、滋賀18社寺のほか、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府4県から計124社寺が参加する。伊勢神宮は特別参拝の形をとる。
 総会では、会長に選ばれた森本公誠・東大寺長老が「神さま、仏さまを共に敬うことこそが日本人の精神の柱であり、世界へ発信していきたい」とあいさつ。引き続き、事業計画を決めた。
 9月8日には、参加社寺の住職、宮司らが伊勢神宮へ正式に参拝して奉告式典を行う。併せて、この巡拝コース専用の朱印帳(1000円)を各社寺で発売する。ガイドブックも作る。
 各社寺には霊場番号を付けているが、あくまでもモデルコースであり、回り方は自由という。
 発起人の山折さんは「神道、仏教、学会の3者で神仏共存の伝統的な信仰を回復し、神仏霊場巡りを人々の心の旅として国民運動にまでつなげたい」と話している。

 日本では「神様,仏様,稲尾様」といったちょっと古い流行語があるように,神も仏も一緒にしたような「神仏習合」という神と仏の合体と言う概念があります。今でも,寺の中に神社があったりしますからね。日本で仏教が受け入れられたのは,日本の神道における八百万(やおよろず)の神という考えのもと,仏もその神の一つという考えを持ち得たからであると言えるのでしょう。

 その後の仏教と神道の共存の過程には,神を仏の化身とする考え方や,逆に仏が神の権化であるとする考え方もあったとされていますが,日本人の倫理観に大きな影響力を持った神道は,仏教に対しても大きな影響を与えているようですね。神道では,人間は自然から生まれ,死ねば神となって自然に帰っていくとされますが,それは八百万の神という考えにつながり,祖先崇拝にもつながるかと思います。

 それに対して元々の仏教は,人間は死ねば輪廻転生し,その中でいずれは釈迦のような仏となるべく切磋琢磨するものとされていたようです。崇拝すべきは祖先ではなくて,祖先を導いてくれた釈迦如来ということになりますか。しかし,その神道と仏教が融合して,人間は死ねばみな神仏となると考えられるようになったことで,日本の仏教におけるお盆の行事に祖先崇拝の色が濃く表れるようになったということは言えそうですね。

 こんなことを考えているうちに,元寇(蒙古襲来)のことを思い出しました。鎌倉時代の日本は,モンゴル帝国の襲来によって,多大な被害を受けました。この戦いの後,時の執権であった北条時宗は,元寇のときの戦死者を敵味方の区別なく弔うために,鎌倉に円覚寺を創建したとされています。う~ん,現代的な感覚なら,沖縄の平和の礎のような戦没者全員の記念碑を建てるということは考えられますけど,今から700年以上も前の鎌倉時代に,敵さえも弔うような考え方があったということはかなりの驚きですね。これは,人間は死ねばみな神仏になるという日本的な死生観の典型的な表れなんでしょうね。

 また,太平洋戦争(大東亜戦争)のさなかの1945年4月,アメリカのルーズベルト大統領が急逝したときに,日本の鈴木貫太郎首相はアメリカに弔電を送りました。ニューヨークタイムズがこの内容を報道したそうです。「ルーズベルト大統領のリーダーシップが非常に成功し,今日のアメリカの優位を築いたことを認めざるを得ません。アメリカ国民の深遠な喪失感に同意し,深甚なる哀悼の意を表します」。

 日本の伝統的な「神仏習合」という信仰の再興を目指す「神仏霊場会」には,数多くの寺社が参加するようですが,親鸞を開祖とする浄土真宗は,もともと「神仏習合」への批判から出発した宗派ということもあって,参加していないようですね(当たり前か…)。また,浄土真宗の本願寺派(西本願寺)については,高名な同和団体との深いつながりが指摘されているようですが,この話に触れるには私のメモリがだいぶ足りないようです。滝汗

懲りない反捕鯨団体

 今日は3月3日でひな祭り。と言っても自分にとってはあまり関係のないことなので,気分は盛り上がりません…。そう言えば,昨日から黄砂が飛び始めて,今日は東日本にも達するほどだったようですね。以前は,黄砂は季節の風物詩ぐらいな感覚でいた人も多かったと思いますが,その発生源の国は現在大変な大気汚染を撒き散らしている某国ですから,たかが黄砂と侮れません。事実,近年は黄砂が原因で健康を害される人もあると伝えられます。洗濯物も大変ですよね…。
 と思っていたら,最近日本でもすっかり有名になった「シー・シェパード」がまた事件をおこしたようです。

産経新聞(2008.3.3 12:20)
調査捕鯨船に妨害活動 シー・シェパード

 海上保安庁によると3日午前7時10分ごろ、オーストラリア・メルボルンの南南西約2960キロの公海上で、環境保護団体シー・シェパードの所属船「ステープ・アーウィン号」(1000トン)が、日本の調査捕鯨船「日新丸」に対し、1時間にわたり船橋後方甲板に酪酸入りの薬瓶と白色粉末状のものが入った茶色の紙包みを投げ込む妨害活動を行った。
 日新丸は放水による接近防止措置を行うとともに警備のために日新丸に乗船している海上保安官が「ステープ・アーウィン号」に対して即時中止の警告を行った。投げ込まれた酪酸が保安官2人、乗組員2人の計4人にかかり、3人が医師による診断を受け目の洗浄を実施、症状は回復しているという。

 このシー・シェパードという団体は,度々日本の調査捕鯨船に体当たり攻撃を仕掛けてきたり,少し前には,日本の調査捕鯨船「第2勇新丸」に薬品を投げつけて不法侵入したことでも知られていますね。日本は,とんでもない粘着団体にとりつかれてしまったようで…。環境保護団体というよりテロ組織という印象がますます強くなっていきます。日本に粘着すればするほど,多額の募金が集まって自らが潤うというメリットがあるからやめられない…といった感じなんでしょう。

 しかし,捕鯨国は日本だけではなかったはずです。ノルウェーなんかは,商業捕鯨を宣言してますので,シー・シェパードはそちらにもっと激しく攻撃しているかと言うと,それがノルウェーに対しては随分おとなしいようですね。この点は,アメリカには年中抗議しても,中国には絶対に抗議をしない偽りの"自称"市民団体と重なって見えます。全く困ったもので…。

 日本は条約に則って合法的に調査捕鯨を行っているはずで,シー・シェパードの寄港地があるオーストラリアは充分承知していると思いますけど,昨年からは捕鯨反対を表明している政権に変わってしまいましたね。このところは政策に対する風当たりが強くなったせいで,国民の捕鯨に対する感情にはますます逆らえなくなったようです。この点は,政権が変わるたびに未来志向の関係を重視すると言っておきながら,国内政治に行き詰まると反日政策に方向転換してきた隣国と通じるものを感じます。

 捕鯨問題については,日本などの捕鯨国が理詰めの議論をしても反捕鯨国は全く理解を示さない現状で,今のところ落としどころが見えません。しかし,日本政府には,間違っていることを受け入れることは絶対にしないでいただきたいですね。ほかの外交課題については,日本政府の譲歩する姿ばかりが焼きついているので,心配ではありますが…。

【参考】
ウィキペディア(Wikipedia)捕鯨問題
日本捕鯨協会

イベントのマスコット

おおつ光ルくん 今年は,源氏物語が最初に記録に現れてから1000年になる年ということで,「源氏物語千年紀in湖都大津」と銘打ったイベントが大津市で行われる予定です(2008年3月18日~12月14日)。紫式部が源氏物語の構想を練ったとされる石山寺を中心に,多種多様な催しが予定されているようですが,先日,「源氏物語千年紀in湖都大津」のマスコットキャラクターとして「おおつ光ルくん」が登場しました(左)。
 もちろん,源氏物語の光源氏をモデルにしていますが,去年,彦根城400年祭で活躍したひこにゃんを意識した感じですね。これはいわゆる流行の「ゆるキャラ」というヤツでしょうか。イベント期間中に石山寺に行くと,こんな着ぐるみが待っていて,修学旅行生が「キャー」とか言って握手したりするんでしょうかね。微笑果たして,ひこにゃんに続いて二匹目のどじょうとなるのか注目されるところです。ひこにゃんは強力でしたからねぇ…。笑顔

平城遷都1300年祭マスコット 一方,来る2010年は何の年かというと,710年に平城京ができてからちょうど1300年。という訳で,奈良では2010年に「平城遷都1300年祭」というイベントが開かれるそうです。で,右がそのマスコットキャラクターです。「これは一体…」。
 う~ん,大仏と鹿が見事に合体していますな…。これはいわゆる流行の「きもかわいい」というヤツでしょうか。イベント期間中に東大寺なんかに行くと,こんな着ぐるみが待っていて,修学旅行生が「キャー」とか言って鹿せんべいを食べさせたり…。滝汗
 でも,これはこれで,ひこにゃんなどとは全く違ったインパクトがありますね。夢に出てきそうです…。何しろ,マスコットキャラクターの候補の中で,これが一番だったんでしょうから…。それで,ただいま平城遷都1300年記念事業協会では,このマスコットキャラクターの愛称を募集中だそうです。3月12日までということなので,まだまだ間に合います。この機会に名付け親になってみてはいかがでしょうか。笑顔

【3/8追記】
平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターについて,ネットで話題沸騰らしいですね。知らなかった…。滝汗批判もずいぶん集まっているそうですが,これだけ話題になれば,イベントとしては充分成功かもしれませんね。笑顔

イージス艦事故報道の違和感

 このところ,新聞・テレビの報道は,過日のイージス艦と漁船の衝突事故で溢れ返っているという印象です。ただ,これ程までに大々的に報道される状況や,海上自衛隊やイージス艦の責任追及,防衛大臣の責任追及に終始したような報道が目に付くのは,当初から違和感を覚えていました。もちろん,海上自衛隊の責任は免れないのですが,自衛隊という組織そのものに対するマスメディアの拒否反応が報道に現れているように感じます。

 海上自衛隊は今までも,情報漏洩事件で非難を集めてきましたが,今回の衝突事故と合わせて日本の安全保障に不安を感じさせる材料となっています。イージス艦事故について,これまでよりも多面的に捉える評論がありましたので,少々長いですが,引用させていただきました。

産経新聞(2008.2.29 03:15)
【正論】イージス艦事故 評論家・西尾幹二 自衛隊の威信は置き去りに

 ■国防軽視のマスコミに大きな責任

 ≪軍艦の航行の自由は≫
 海上自衛隊のイージス艦が衝突して漁船を大破沈没せしめた海難事故は、被害者がいまだに行方不明で、二度とあってはならない不幸な事件である。しかし事柄の不幸の深刻さと、それに対するマスコミの取り扱いがはたして妥当か否かはまた別の問題である。
 イージス艦は国防に欠かせない軍艦であり、一旦緩急があるとき国土の防衛に敢然と出動してもらわなければ困る船だ。機密保持のままの出動もあるだろう。民間の船が多数海上にあるとき、軍艦の航行の自由をどう守るかの観点がマスコミの論調に皆無である。
 航行の自由を得るための努力への義務は軍民双方にある。大きな軍艦が小さな漁船を壊した人命事故はたしかに遺憾だが、多数走り回る小さな漁船や商船の群れから大きな軍艦をどう守るかという観点もマスコミの論議の中になければ、公正を欠くことにならないか。
 今回の事故は目下海上保安庁にいっさい捜査が委ねられていて、28日段階では、防衛省側にも捜査の情報は伝えられていないと聞く。イージス艦は港内にあって缶詰め状態のままである。捜査が終了するのに2、3カ月を要し、それまでは艦側にミスがあったのか、ひょっとして漁船側に責任があったのか、厳密には分からない。捜査の結果いかんで関係者は検察に送検され、刑事責任が問われる。その段階で海上保安庁が事故内容の状況説明を公開するはずだ。しかもその後、海難審判が1、2年はつづいて、事故原因究明がおこなわれるのを常とする。

 ≪非難の矛先は組織に≫
 気が遠くなるような綿密な手続きである。だからマスコミは大騒ぎせず、冷静に見守るべきだ。軍艦側の横暴だときめつけ、非難のことばを浴びせかけるのは、悪いのは何ごともすべて軍だという戦後マスコミの体質がまたまた露呈しただけのことで、沖縄集団自決問題とそっくり同じパターンである。
 単なる海上の交通事故をマスコミはねじ曲げて自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質だと言い立て、矛先を組織論にしきりに向けて、それを野党政治家が政争の具にしているが、情けないレベルである。今のところ自衛隊の側の黒白もはっきりしていないのである。防衛省側はまだ最終判断材料を与えられていない。組織の隠蔽かどうかも分からないのだ。
 ということは、この問題にも憲法9条の壁があることを示している。自衛隊には「軍法」がなく、「軍事裁判所」もない。だから軍艦が一般の船舶と同じに扱われている。単なる交通事故扱いで、軍らしい扱いを受けていないのに責任だけ軍並みだというのはどこか異様である。
 日本以外の世界各国において、民間の船舶は軍艦に対し、外国の軍艦に対しても、進路を譲るなど表敬の態度を示す。日本だけは民間の船が平生さして気を使わない。誇らしい自国の軍隊ではなくどうせガードマンだという自衛隊軽視の戦後特有の感情が今も災いしているからである。防衛大臣と海上幕僚長が謝罪に訪れた際、漁業組合長がとった高飛車な態度に、ひごろ日本国民がいかに自衛隊に敬意を払っていないかが表れていた。それは国防軽視のマスコミの体質の反映でもある。

 ≪安保の本質論抜け落ち≫
 そうなるには理由もある。自衛隊が日本人の愛国心の中核になり得ず、米軍の一翼を担う補完部隊にすぎないことを国民は見抜き、根本的な不安を抱いているからである。イージス艦といえばつい先日、弾道ミサイルを空中で迎撃破壊する実験を行った。飛来するミサイルに水も漏らさぬ防衛網を敷くにはほど遠く、単なる気休めで、核防衛にはわが国の核武装のほかには有効な手のないことはつとに知られている。
 米軍需産業に奉仕するだけの受け身のミサイル防衛でいいのかなど、マスコミは日本の安全保障をめぐる本質論を展開してほしい。当然専守防衛からの転換が必要だ。それを逃げて、今のように軍を乱暴な悪者と見る情緒的反応に終始するのは余りに「鎖国」的である。
 沖縄で過日14歳の少女が夜、米兵の誘いに乗って家まで連れていかれた、という事件があった。これにもマスコミは情緒的な反応をした。沖縄県知事は怒りの声明を繰り返した。再発防止のために米軍に隊員教育の格別の施策を求めるのは当然である。ただ県知事は他にもやるべきことがあった。女子中学生が夜、未知の男の誘いに乗らないよう沖縄の教育界と父母会に忠告し、指導すべきであった。
 衝突事故も少女連れ去りも、再発防止への努力は軍民双方に平等に義務がある。(にしお かんじ)

 西尾氏らしい評論ですが,もちろん朝日新聞あたりには絶対に見られない論調ですね。この評論で述べられているように,自衛隊が軍隊として扱われていない現状が大きく影を落としているということは,充分考えられます。ミサイル防衛自体にも批判的な方々が多くいらっしゃいますし。こういった方々は,とりあえず軍事的な装備は気に入らないように見受けられます。
 今回の事故で言えば,中途半端な立場の海上自衛隊の組織自体が,漁船に衝突する直前まで自動操舵のまま航行することを許した官僚的思考を育てていたのかもしれません。現在,イージス艦事故の捜査は海上保安庁に委ねられていますが,防衛大臣には,今回の事故の根本的な要因まで踏み込んでいただきたいですね。その後辞任するならそれでいいと思います。

 イージス艦事故におけるマスコミの報道は,自衛隊責任論以外の論調を差し挟む余地を狭めてきたようです。もう少し,バランスのいい報道が増えるといいんですが…。この評論では沖縄の事件についても指摘されていますけど,この場合,やはり沖縄の人々の責任にも言及しないと,バランスを欠いていると言えるでしょうからね。

混迷する毒餃子事件

ロイター(2008年 02月 28日 15:58)
冷凍ギョーザ事件、殺虫剤が混入されたのは中国ではない=中国当局

 [北京 28日 ロイター] 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、捜査を行っていた中国側当局は28日、事件は人為的なものであり、殺虫剤メタミドホスが混入されたのは中国ではない、との見方を示した。
 新華社によると、中国側当局者らは「中国北部の工場で製造されたギョーザによって日本で起きた中毒事件は、人為的な特殊な事件であり、中国で(毒物混入が)起きたとは考えにくい」としている。
 中国公安省刑事偵査局の余新民副局長は、記者会見で「徹底した捜査の結果、中国国内でギョーザにメタミドホス(殺虫剤)が混入された可能性は極めて低いと考えている」と語った。
 また、中国国家品質監督検査検疫総局は、中国側の工場で採取したサンプルからは有害物質が発見されず、不自然な行いなども認められなかったとしている。

 日本と中国の捜査が全くかみ合わないままですね。中国側は,このままうやむやで終わらせたいような雰囲気で,真相究明する気もないように思われます。これでは,日本の消費者が中国製品への不信感を抱いたままになるような気がしますが,それでいいんでしょうか…。
 という訳で,日本の食品の消費は国産品へ比重を移していくか,少なくとも中国以外の輸入品になるという方向に向かっていくことが現時点での理想でしょう。日本政府が輸入禁止の措置を取ろうとすると,中国共産党は食品以外の貿易で締め付けると恫喝しますが,消費者の選択の結果として中国産が排除されるという方向に向かえば,中国側も文句のつけようがありません。現在の報道は,イージス艦の事故などに埋め尽くされていますけど,日本の消費者には毒餃子事件も忘れて欲しくないですね。

【2/28追記】
一方,警察庁は中国側の発表に反論したようです。

読売新聞(2008年2月28日19時50分)
中国側発表「看過できない」…警察庁長官が反論

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国公安省幹部が中国国内で有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入した可能性を否定した発言について、警察庁の吉村博人長官は28日の定例記者会見で、「看過できない」「こういうことを予告もなくポーンと出してくるのはいかがか」と厳しい口調で反論した。
 吉村長官は、<1>検出されたメタミドホスは不純物が多く、国内で流通していない<2>実験の結果、メタミドホスは袋の外側から内側には浸透しない<3>千葉と兵庫で中毒を起こしたギョーザが国内では別ルートで流通している――ことなどを挙げ、改めて「日本国内での混入の可能性は極めて低い」と強調。中国公安省刑事偵査局の余新民・副局長の28日の会見内容は「不可解な点が多い」と述べた。
 特に余副局長が「実験の結果、メタミドホスは袋の外側から内側に浸透する」として日本側の鑑定結果と全く逆の見方を示した点については、「科学的データをもらいたい」と疑問をなげかけた。
 警察庁によると、今月21、22の両日に来日した中国公安省幹部との協議や25日に北京で開いた会議では、日本側から、メタミドホスが検出されたギョーザの鑑定結果や袋の写真、ガスクロマトグラフィー質量分析装置によるメタミドホスの不純物の分析結果などを中国側に提供した。一方、中国側には、過去に起きたメタミドホスを使った事件の捜査資料や、製造元の「天洋食品」(河北省)の工場内を撮影したビデオなどを求めているが、「探している」などとして提出されていないという。
 吉村長官は、余副局長が鑑定結果や証拠を日本に求めても提供されないと発言したことにも触れ、「誤解を招く言い方だ」と反発した。

 警察庁は,中国側の発表は全くのデタラメであると公言したということのようです。これは,今後の動向に注目ですね。にやり

福田首相のコメントも入ってまいりました。中国側は「非常に前向きだ」ということだそうです。う~ん,呆れますね…。
時事通信(2008/02/28-20:50)
原因究明、中国も前向き=ギョーザ中毒問題で福田首相

 福田康夫首相は28日夜、中国製冷凍ギョーザ中毒問題で中国公安省が同国内での毒物混入の可能性は低いと発表したことについて「(中国側は)これからも日本と共同して、しっかり調査したいということを言っていたのではないか。非常に前向きだ」と述べ、今後も中国と協力して原因究明に当たる考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 また、首相は「中国側も原因をしっかり調査し、責任をはっきりさせたいという気持ちは十分持っていると思う。日本側も協力してやってもらいたい」と語った。

たばこ自販機はタスポへ

 たばこの自動販売機も便利(?)になっているんですね。成人識別たばこ自動販売機というものが導入されていくそうで…。

産経新聞(2008.2.27 13:10)
「タスポ」申し込み開始 未成年の購入防止に期待 導入検証では高い効果

 自動販売機でたばこを買う際に必要になる成人識別カード「タスポ」の全国申し込みが今月から始まった。地域別に段階的に稼働し、7月には全面実施になる。未成年の喫煙防止に大きな効果が期待できる一方、カードの不正使用などを心配する声もある。(八並朋昌)
 タスポはICチップに成人証明を記録し、券面に氏名、顔写真、会員番号が表示されている。自販機の感知部にカードをあてないと作動しない仕組み。2万円を上限に電子マネー機能もある。
 運営主体の日本たばこ協会(東京都港区)の未成年者喫煙防止対策室長代理、横谷博さんは「先行受け付けの神奈川、鹿児島、宮崎3県では12月だけで約10万件の申し込みがあった」と話す。協会は日本たばこ(JT)、フィリップ・モリス(米)ジャパン、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英)ジャパンの3メーカーなどでつくる。

 私は1年前からたばこは吸ってませんけど,どういうものかなぁという興味はありますね。今までは午後11時~午前5時には販売しないという規制がありましたけど,タスポ導入で,カードさえ持っていれば,いつでもたばこが買えるということになるようで。逆にカードを忘れるとたばこが買えないのか…。まぁ,売店で買えば済むことですけど,喫煙者にとっては少々面倒くさいですかね。未成年者の購入を防ぐという目的がありますが,売店での販売体制を含めて上手に運用していただければと思います。タスポの公式サイトというものがありましたので,詳しいことはそちらで。
成人識別ICカード「taspo(タスポ)」公式サイト

 そう言えば,数か月前にテレビを見ていたら,「顔認証式自販機」というたばこ自販機が紹介されていて,レポーターが実際に自動販売機のカメラに顔を向けて認証させてから購入というデモンストレーションをやっていました。童顔などで成人と認証されない人は,運転免許証で認証ということも可能だそうです。この自販機はまだ,沖縄など一部地域にしか設置されていないと紹介されていましたけど,これはどうなるんでしょうかね。本当はこれが見てみたいんですけど,どこにあるんでしょうか…。笑顔

【2/28追記】
ネットをちらちら見ていたら,次のサイトがありました。禁煙したい人向けに,色々な情報があるようです。微笑
禁煙するぞ.JP

沖縄集団自決問題で新証言

 産経新聞が,沖縄の集団自決問題の新たな証言について報道していましたね。

 以前の記事で,少し所感を書きましたけど,子どもの教育を担う教科書で間違った記述がまかり通ることがあってはなりません。現状でも近代史における南京事件や慰安婦など,事実を追究すべき教科書とは到底思えない論調が見られます。教科書の奥付けに名前を連ねた研究者たちはそれを是とするのでしょうか。
 沖縄の集団自決問題については,これからも新たな証言や事実が出てくる可能性があるでしょうし,まだまだ議論の余地があるでしょう。自決の軍命があったと断言する人々には,軍命があったことを否定する証言に聞く耳持たぬ態度を改めて,今後は真摯な議論に参加することを期待したいですね。現状は非常に厳しいですが…。

産経新聞(2008.2.22 23:13)
集団自決、隊長はいさめた 沖縄・座間味で日本軍強制説否定する新証言

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