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長野の聖火リレー

 26日の土曜日に長野で聖火リレーが行われましたね。これまでの各国での聖火リレーを踏まえて,長野ではどういった事態になるのかという世界的な注目がありましたけど,聖火リレー自体への過激な行動は目立ったものとはなっていなかったような印象です。

 警察庁長官は本日「長野県警がほぼ満点の警備をしてくれた。」との評価を示しましたが,聖火リレーを目の当たりにした人々からは,中国人留学生の傍若無人な振る舞いとそれに対する警察の対応について,厳しい意見も多数あがっているようですね。数千人規模で真っ赤な旗を振って声を張り上げる人々より,日本人をなだめる方が警備の効率がいいという事情もあって,当の警察官としても歯がゆい思いはあったのではないかと想像するのですがね…。ただ,明らかな道路交通法違反の者もいましたので,そこは毅然と検挙していただきたかったなぁとは思います。

 国境なき記者団も,聖火の採火式でも登場した,手錠で表した五輪の旗を掲げるなどのアピールを行いました。同記者団のメナール事務局長は,抗議行動を容認した日本政府の民主的な対応を称賛したと報道されています。聖火リレーに集まった中国人留学生に対してメナール事務局長は「中国の若者はこの日の経験から民主主義の何たるかを知ってもらいたい」とメッセージを発したそうですが,現状では非常に厳しいように思えます。

 聖火リレーが各地で行われるのは,オリンピックの精神を各地で共有し合うことにあろうかと思います。長野で聖火リレーが行われるのなら,まず第一に長野市民,そして日本国民がそのリレーに声援を送ることが,その意義を全うすることにつながるはずですが,日本国民の居場所は真っ赤な旗を持った中国人によって奪われていました。五星紅旗を持った人々は聖火を守ることを口にしていますが,彼らが守ろうとしているのは中国の薄っぺらな面子でしかありません。なぜ,このような事態になっているのかは全く理解できていないでしょう。

 聖火リレーを埋め尽くした五星紅旗と,チベット国旗を持った人々を取り囲んで発した中国人の言葉を見聞きして思い出したのは「文化大革命」。政権を転覆しかねない人々を反革命分子として徹底的に罵倒・弾圧する紅衛兵の姿です。市場経済によって大きく発展を続けているという中国ですが,中国共産党の一党独裁の政治体制は,彼ら自身の精神を何度でも同じ場所に引きずり込むことになるのでしょうね。

「靖国」削除要請を拒否

 映画「靖国 YASUKUNI」ですが,いつの間にか動きがあったようです。

産経新聞(2008.4.21 20:49)
映画「靖国」、削除要請を拒否し5月3日から公開へ

 映画「靖国 YASUKUNI」の李(リ)纓(イン)監督らに対し、靖国神社が映像の削除・訂正を求めている問題で、配給会社のアルゴ・ピクチャーズは21日、「内容を変更せずに、(神社側と)和解する方向を探りたい」として、作品に手を加えずそのままの形で上映する方針を固めた。神社側が期日としている26日までに正式回答する。

 アルゴ・ピクチャーズは、削除しない理由として「神社側から言われただけで、裁判所から法的に削除しろといわれたわけではない」としている。
 映画館には試写会で使用したフィルムと同じものを、遅くとも5月1日前後から発送する。
 これに対し、靖国神社広報課は「正式な回答をもらっていないので、現段階ではコメントできない」としている。

 また、この日は上映を決めている23館のうち、8館の公開日程が決定。5月3日に東京の渋谷シネ・アミューズで公開されるのをトップに順次、大阪や京都などの映画館でも公開。そのほかの映画館についても、日程を調整している。

 う~ん,靖国神社に回答する前に,公開を発表することを決定してしまっていいんでしょうかね。ますます不信感が募るような気がするんですけど…。映画に映像を使われている高知の刀匠との折り合いはついたのでしょうか。この映画への批判は,単にイデオロギーとか右翼の問題からであると考えているとすれば,何と自己中心的な…という印象が拭いきれませんねぇ。

 ここに来て,配給会社は無理やり急いで走っているように思われますけど,裁判所云々の物言いは法廷闘争を覚悟してのことなんでしょうか。問題ははっきりとしているわけですから,それらを解決してから公開しないと,せっかくの主張が台無しになるように感じますけど…余計な心配でしょうかね。

善光寺がついに辞退

 長野での聖火リレーの出発地点となっていた善光寺ですが,その動向が注目される中,18日に正式な辞退を表明しました。

産経新聞(2008.4.18 13:32)
長野聖火リレースタート地点変更 辞退の善光寺「仏教者の弾圧を憂慮」

 長野市で行われる北京五輪の聖火リレーで、善光寺がスタート地点の辞退を申し入れた問題で、同市聖火リレー実行委員会は18日、申し入れを受け、スタート地点を同寺の境内から変更する方針を決めた。リレー計画の変更を迫られる事態となった実行委は、ルートの再検討を始めた。境内ではなく、参道をスタート地点にすることなども検討されているという。

 同日、善光寺から正式に辞退の申し入れを受けた実行委の篠原邦彦事務局長は「大変衝撃を受けている。善光寺の総意として決定を尊重する。コースを変更せざるを得ない」と述べた。善光寺の若麻績信昭(わかおみしんしょう)寺務総長は、理由について「文化財や信者の安全の問題と、チベット問題を考慮した」と説明した。
 関係者によると、善光寺内部では、チベット暴動で僧侶が弾圧されていることを理由に、同じ仏教者として境内を提供することに反対する意見や、抗議を懸念する声が出ていた。
 こうした事情などから、17日に幹部らが会議を開いて対応を協議した結果、スタート地点返上の方針を確認。18日になって、市実行委側に意向を伝えた。
 これまでの計画では、善光寺の本堂と三門の間のスペースに特設会場を設け、26日午前8時から点火式などの出発行事を実施。その後、長野五輪の競技会場などをめぐる18.5キロのルートを予定していた。
 聖火リレーをスタートする最初のランナーには、北京五輪野球日本代表監督の星野仙一さんら著名人が予想されている。

■「チベットで無差別な殺人」

 「チベットで無差別な殺人が行われた。チベットの仏教者が立ち上がり、それに対する弾圧が行われ、憂慮していた」。北京五輪の聖火リレー出発地辞退を長野市に伝えた善光寺の若麻績信昭寺務総長は18日、市役所で会見し、チベット暴動をめぐる仏教者への弾圧が大きな理由であることを明らかにした。
 会見には法衣姿の僧侶4人が並んだ。善光寺には、聖火リレーについて1日100件を超える電話があり、境内を出発式に使用することに抗議する内容の電話も多かったという。
 一方、ルートの変更を余儀なくされた市実行委員会の篠原邦彦事務局長は「すぐに上司に報告する」と青ざめていた。

 長野市聖火リレー実行委員会の事務局長は「大変衝撃を受けている。」というように述べていますが,こういう事態は充分予想していたことでしょう。善光寺が辞退する前から,善光寺を含まないコース案がすでに実行委員会内で作成されていたと思いますけどね…。

 善光寺といっても大きな組織ですから,正式な辞退を決定するということで意見をまとめるには紆余曲折があったと想像できます。決定までに時間がかかったとは言え,仏教寺院としての善光寺の名が貶められる状況を未然に防いだことは高く評価できますね。チベットの弾圧が今回の辞退の大きな理由であると明言もしていますし。

 ところで,17日の記者会見で,町村官房長官が「わが国は極めてきちんとした法治国家で、他国の力を借りなければならない治安状況にはない」と述べて,中国の「聖火防衛隊」を受け入れない考えを示しましたけど,18日朝のNHKニュースでは「長野県警が聖火防衛隊を受け入れることを決定した。」と伝えていました。
 これはNHKの先走り報道なんでしょうか。NHKのような内容の報道は,他に見当たらないんですけど…。政府と警察でちゃんと意思が統一されているのか,少し心配になりますが,主権国家の日本では,主権侵害の「聖火防衛隊」はお断りです。

実用外交の第一歩か

 韓国の李明博大統領が,相次いで日米を訪れるそうです…。

産経新聞(2008.4.14 22:02)
李明博韓国大統領15日訪米 20日に訪日へ

 【ソウル=久保田るり子】韓国の李明博(イミヨンバク)大統領は、就任以来初めての外国訪問で15日から米国、日本両国を訪れ首脳会談に臨む。過去10年の革新政権下では主に対北朝鮮問題で米韓関係がぎくしゃくし、日韓は歴史認識問題などをめぐる対立から首脳交流が途絶えた。今回の2カ国歴訪を李大統領は「実用外交の第一歩」と位置づけ日米との友好修復と同盟強化、経済関係の活発化を目指す。日米韓の連携復活も国際社会に印象付けられることになりそうだ。

 出発に先立った13日の記者会見で李大統領は、対北朝鮮政策について、「挑発的な言動には原則を持ってき然と対処している」と述べたが、北朝鮮への対応を裏付ける意味でも米韓関係修復は李大統領の首脳会談の重要テーマとなる。米国とは在韓米軍再編や、ミサイル防衛など安全保障問題のほか米韓自由貿易協定(FTA)の批准などが話し合われる。ブッシュ大統領は李大統領を韓国大統領として初めて別荘のキャンプ・デービッドに招いて首脳会談を開く。

 また、日本訪問ではシャトル外交復活や、北朝鮮問題での連携、日韓FTA交渉の再開をはじめとし、日韓の財界、経済人交流など経済関係強化が図られる。

 李大統領は先に訪韓した日本の知事会議代表団に、「日韓関係を実質的に役立つ方向に発展させたい」と述べている。李大統領は15日にニューヨーク入りし、19日に米韓首脳会談に臨む。20日に日本に到着し、21日に福田康夫首相と会談する予定だ。

 長い間ギクシャクしていた日韓関係ですけど,新しく就任した李明博大統領は,未来志向の外交と言う建前で日本との関係修復に臨むようですね。盧武鉉元大統領も,就任当初はそんなことを言っておいて,すぐに反日に転じましたので,どこまで続くのか注目されるところです。

 韓国の人たちにとって反日を行うことは,幼少のころからの教育で徹底されていることですし,すっかり日常生活の風景の一つと化しているようですので,今回の李大統領の訪日に際しても,韓国内からの様々な圧力があるようです。そして,歴史問題に関しては,日韓の間で合意を得ることが現在のところほとんど不可能ですので,ここは,李明博大統領の腕の見せ所でしょうか…。どうやってごまかすか…。日本の首相は,韓国にとっては幸いの福田さんですし…。

 今朝,テレビのニュースを見ていたら,韓国では今,日本の併合時代の建築物の保存運動が注目を集めているとのことです。十数年前に,歴史的建造物の旧朝鮮総督府庁舎を破壊したことを考えると,にわかには信じられないことなんですが…。
 韓国で言われるところの日帝時代(併合時期)に建てられた建築物は「日帝残滓」とされ,これまでにも事あるごとに破壊されてきました。測量用の杭でさえ,朝鮮民族の精気を奪うための日帝の陰謀だとしてあちこちで抜きまくってしまったという,ちょっとほのぼのとした話もありますね。ただ,橋などの真に実用的なものはそのまま残されているものが多いそうですが。

 最近の韓国では,併合時代の日本の役割を再評価する教科書がつくられたというニュースも入っていますので,今までよりは多少風通しがよくなっているのでしょうか。ただ,この教科書は,韓国では「韓国版の扶桑社教科書」という位置づけみたいですけどね。

 とりあえず,李明博大統領のこれからの動きに注目です。前任の大統領があまりにもあんまりな方でしたので,たいていの人はまともに見えるかもしれませんが,韓国内の事情に関わらずどこまで我慢できますか…。1年ぐらいは様子見ですかね。

隠された聖火リレー

 サンフランシスコに入った聖火リレーですが,どんどんエスカレートしているような雰囲気ですね…。

産経新聞(2008.4.10 20:56)
人目はばかる聖火リレー 中国系メディア絶賛、米では厳しい視線

 【サンフランシスコ=松尾理也】北米唯一の立ち寄り地、サンフランシスコで9日、行われた北京五輪の聖火リレーは、ロンドンやパリでみられたような大きな混乱はなかった。直前にルートを変更するという当局の大胆な措置が功を奏し、沿道に抗議団体の姿はほどんどない。ただし、通常なら寄せられるはずの温かい声援もなかった。人目をはばかるように駆け抜けた聖火は、世界から厳しい視線を向けられている北京五輪の姿と重なる。

 今回の聖火リレーの出発地点は、米大リーグ、ジャイアンツの本拠地AT&Tパークに隣接する埠頭(ふとう)。チベット問題など中国の人権抑圧を非難する団体などのほか、北京五輪を支持する中国系米国人らも結集し、互いににらみ合う異様な空気に包まれた。

 当局は、リレー開始予定の午後1時直前、ルートを約半分に短縮すると発表。ほぼ同時に埠頭に最初の走者が姿を現し、トーチに採火。いよいよ走り出すかに見えた。
 ところが、パリなどでの態勢と同じく中国の警備担当者に守られた走者は、倉庫の中に姿をくらませてしまった。しばらくして複数の車両が別々の方角に走り出し、水上スキーや船舶まで出発した。裏をかく作戦は成功し、メディアまでもが完全に聖火を見失ってしまった。
 結局、聖火は当初予定されていた海沿いのコースとは離れた市役所近くの大通りに、バスから降りて登場。警官らが厳重に包囲する中、市北西部のゴールデンゲート・ブリッジに向けて走り出し、その後再びバスに戻った後、そのまま空港に直行した。
 たまたまリレーに出くわした通行人らが手を振る光景も一部でみられたが、懸命に聖火を追いかけた抗議団体側も、支援の中国関係者側も、結局追いつくことはできず、表面上はリレーは平穏に終了した。

 「市民の裏をかく」という、このサンフランシスコ市当局のアイデアと手際を激賞したのが中国政府。周文重駐米大使は、リレーが「中国系を含む米国民の熱烈な歓迎によって成功した」と満足を表明する声明を発表した。AP通信によると、中国のメディアも「抗議活動家らは八方ふさがりに陥った」「まるでハリウッド映画のようにサスペンスとドラマに満ちたリレーだった」と、絶賛する報道が目立った。

 国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長も滞在先の北京で「幸運にも状況は改善された」と述べた。だが、本来記念すべき晴れの舞台であるにもかかわらず、人目をはばかるように通り過ぎていった聖火に対し、米国民やメディアが寄せる目は厳しい。
 地元サンフランシスコ・クロニクル紙は「何という失態だ」と嘆いた上で、「サンフランシスコがいかに政治的な反対意見を尊重する街かということを示す絶好の機会だったのに、市はその機会から逃げ出した」と手厳しく非難した。

 米ゾグビー社の最新の世論調査によると、五輪開会式をボイコットすべきだと考える米国人は全体の48%に上り、出席すべきとする33%を大きく上回った。また、中国は五輪開催にふさわしくないとの回答は70%の高率に達している。
 サンフランシスコのニューソム市長はこの日、「事故がなかったという意味で、リレーは成功だった」と述べたが、その強気の言葉とは裏腹に、五輪への批判は一層高まる気配だ。

 直前にコースを変更したということですが,観客には全く知らされていないわけですよね…。何のために聖火リレーをやっているのかよく分からなくなってきました。こんなことで喜べる中国系メディアは,それこそオリンピックの精神を理解していないということなんでしょう。いったい聖火リレーに何を期待しているんでしょうね。

 中国にとって今の状況は,聖火リレーを続行しても面子丸つぶれ,中止しても面子丸つぶれという,八方ふさがりといった様子です。そろそろ,平和的解決へ向けた話し合いに応じる姿勢にはならないんでしょうかね。まぁ,それができれば中国ではないような気もしますが…。

 ほんの2か月前には,こんな状況になるとは思いもよりませんでしたね。長野での聖火リレーも近づいていますが,その出発地点となっている善光寺にとっても大いなる苦悩があると思われます。JOCでは,リレーのコース変更への言及もあるようですが,そんな事情も踏まえているのかもしれません。

 これからさらに活発な動きがあるかと思いますが,とりあえず,あの悪名高い中国の聖火警備隊とかいう集団の実力行使は認めないと,警察庁が方針を示したのは結構なことだと思います。

映画「靖国」の問題

 最近,話題になっている映画「靖国 YASUKUNI」ですが,映画に登場する刀匠と監督の言い分が随分食い違っているようで…。

産経新聞(2008.4.10 18:05)
「マイナスイメージない」 映画「靖国」監督が会見

 靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止問題で、李(リ)纓(イン)監督が10日、東京都千代田区の参議院議員会館で会見し、「日中合作という国際化の成果の作品で、日本の国際的イメージにとってマイナスになるものではない」と強調した。

 会見は李監督のほか、ジャーナリストや映画監督ら上映中止に抗議する14人が出席。李監督は上映中止の動きについて「3月末に(4月公開予定の)全映画館が中止を決め、びっくりした。どのような圧力があったか分からないが、理解しにくい」と訴えた。

 会見では、作品に登場する靖国刀匠、刈谷直治さんが自分の映像を削除するよう求めているとされる報道にも言及。「作品を去年4月に刈谷さん夫婦に見せに行き、了承してもらった。今年2月にチラシを見せたところ、刈谷さんは喜んだ。またパンフレット用に“誠心誠意”の言葉もいただいた」と理解を得たことを強調した。

 その上で「まだ刈谷さんからの連絡はない。(刈谷さんに)どんな圧力があったのか。作品が成立できなくなるよう働きかけられたとしか受け取れない」と懸念を示した。

朝日新聞(2008年04月10日)
「思った趣旨と違う」 映画「靖国」に出演の刀匠

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」をめぐり、映画の中心的な登場人物で、高知県内に住む刀匠(90)とその妻(83)が10日、朝日新聞の取材に、「思っていたのと違う趣旨で映画が作られていて、『靖国問題』に巻き込まれてしまった」と話し、出演場面の削除などを希望した。

 刀匠によると、05年に李纓(リ・イン)監督側から「出演依頼」の手紙が送られてきた。戦後、伝承されなくなってしまった靖国刀の最後の刀匠として取り上げたい、という内容だったという。刀匠は承諾し、李監督は靖国刀を制作している場面などを撮影した。

 その後、李監督らが自宅に来て映像を見せてくれたが、靖国神社に参拝する小泉首相(当時)とそれに反対する人たちに交じって、刀を作る映像が流れていたため、「これでは撮影を受けた趣旨と違っている」と出演場面と出演名の削除を頼んだという。

 今年3月に自民党比例区選出の有村治子参院議員から、「国会で映画を審議しているからどのように考えているのか意見を聞きたい」という電話があり、刀匠は「出演していることが本意ではないので、名前と映像を省いてほしいし、完成品を見せてほしいと思っている」と伝えたという。

 今回の映画について、刀匠は「靖国刀の伝統技術や美術品としての価値を後世に伝えてくれるものだと思っていた。『靖国問題』と結びつけるものだとは、まさか思っていなかった」と話している。

 この件については,以前から問題とされていましたけど,メディアでなかなか取り上げられなかったので,放置されていたような感じです。上映中止の判断には,イデオロギーよりも肖像権の問題が影響しているのではと勘ぐってしまいますね…。

 先日の国会での有村治子参院議員の質疑においては,映画「靖国」のポスターに大きく登場している自衛官の画像が,靖国神社において無断撮影されたものを本人に無許可のまま使用しているものだということも指摘されていましたが,この件はどうなったんでしょうか…。

 政治的なメッセージを持つとされるこの映画が,文部科学省の独立行政法人である日本芸術文化振興会の補助金を得ているという指摘が発端となっている面もありますけど,言論の自由や思想の自由を叫ぶ前に,筋を通すべきことがあると思いますけどねぇ。困惑

チベット弾圧への声明

中共によるチベット弾圧に対して,日本でも具体的な動きがあったようです。

産経新聞(2008.4.8 19:56)
チベット弾圧で日本の文化人有志が声明

 中国チベット自治区での騒乱を中国政府が強権的に鎮圧したことを受けて、映画監督の龍村仁さん、ジャーナリストの下村満子さん、音楽評論家の湯川れい子さんらが8日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、文化人有志65人の連名による「14世ダライ・ラマ法王と中国政府首脳との直接対話を求める声明文」を発表した。

 声明文は「ダライ・ラマ法王に扇動された一部チベット人による暴力的反政府活動」という中国政府のキャンペーンを「真実とかけ離れたもの」と批判したうえで、国際的な仲介者のもとでの中国政府首脳と法王との対話を提言。「それこそ中国政府が世界の信頼を取り戻すことのできる唯一の道」と訴えている。

 ダライ・ラマ法王の「愛と非暴力」を貫く姿勢に共感する龍村さん、下村さん、湯川さんが呼びかけ人となり、作家の池澤夏樹さん、女優の岸恵子さん、俳優の堺正章さん、詩人の谷川俊太郎さん、音楽家の細野晴臣さんら計65人が賛同者として名を連ねた。

 会見では「中国政府の報道はでたらめ。真実を見てほしい」と龍村さんが訴えると、親を虐殺や拘束で失ったチベットの子供を支援する下村さんは「私はアンチ中国ではありませんが、いま中国が主張していることは正しくない。ダライ・ラマ法王は一貫して非暴力を唱え、中国との対話を求めています。中国政府は心をオープンに対話を開始してほしい」と強い口調で語った。また、湯川さんは「こういう活動は正直言って怖い。原子力潜水艦に立ち向かうイワシのよう」と不安を吐露したうえで「中国はジャーナリストを受け入れるべき」と述べた。

 3人はさらに賛同者を集めたうえで、声明文を日本政府と中国政府に渡したい、としている。

 本当は日本政府に行動を起こしてもらいたかったんですが,今の福田政権では望めないことなんでしょうかね。
 ロンドン,パリにおけるオリンピックの聖火リレーでは,中国への抗議の形として妨害活動が頻発しているようですが,暴力的な妨害は支持できませんねぇ…。それに対して中国は五輪憲章に違反するなどと非難していますけど,そもそも中国の今までのやり方が五輪憲章を冒涜するものですから,彼らに非難する資格は全くありません。

 とりあえず,日本でもこのような動きがあることついて,マスコミが報道することが重要でしょう。産経以外のメディアが取り上げるのかどうかはわかりませんけど,これからの動きに注目していきたいと思います。
 毒餃子事件の結末を見ても明らかですけど,漢民族以外を全て見下す中華思想は,これからも中国の将来に影を落とすことになるのでしょうね…。

日本で事前合宿

 北京五輪の直前に日本で合宿するケースが相次いでいるようで…。

産経新聞(2008.4.2 22:58)
「日本で事前合宿」水泳だけで約10カ国 北京五輪

 日本水連の佐野和夫専務理事は2日、北京五輪の事前合宿を日本で実施する海外の水泳勢は英国など約10カ国になるとの見通しを明らかにした。

 競泳では英国とニュージーランドが大阪府、イタリアが千葉県、オランダが長崎県、ポーランドが富山県、チュニジアが兵庫県尼崎市のプールを使う。水球のスペイン、モンテネグロ、ドイツも国立スポーツ科学センター(JISS)などで合宿する方向で調整している。日本オリンピック委員会(JOC)を通してスウェーデンなども日本で合宿を張る。

 う~ん,このまま日本でオリンピックをやりますか,という勢いで…。まぁ,設備の問題もあるでしょうけど,食事や環境の問題が大きな影響を与えているということなんでしょうね。陸上競技では,環境についての影響がさらに大きいはずです。

 これとは別に,環境と共に政情が不安な中国という理由で,天皇・皇后など皇族方の北京五輪の開会式への出席が見送られるとのことです。とりあえず,この点でまともな判断がなされたことには安堵しています。

 でも,それだけではありません。

 先ほど,アムネスティ・インターナショナルが中国の人権問題に関する報告書を発表したという報道がありました。中国への非難はもちろんですが,「中国国内で人権活動家らが沈黙させられている状況で,IOCや国際社会,中国と取引のある海外企業が非難の声を上げないのは,人権弾圧の共犯者と変わらない」という内容が含まれています。

 中国に対しては,日本政府には,少なくとも対話による解決への努力をさせる圧力をかけてもらいたいですし,その意思を公式に明らかにしていただきたいですね。今のところ,中国の国家主席が来日する予定でいるようですが,来日したとして,果たしてどんな話をするんでしょうか。何もしないなら,招くべきではないでしょうね。

「すべてやらせだ」

 チベット情勢は,だんだん深刻化しているように見えます。

読売新聞(2008年3月27日21時58分)
「すべてやらせだ」直訴のチベット僧らTV映像に

 【香港=吉田健一】チベット族による大規模暴動が起きた中国チベット自治区の区都ラサを26日、中国政府が組織した外国メディア取材団が初めて訪れ、香港無線テレビ(TVB)は27日、「取材先の寺院の参拝客らはすべて当局が動員した関係者だ」などと訴えるチベット僧侶の姿を放映した。

 チベット仏教寺院ジョカン寺(大昭寺)を訪れた取材陣の前に約30人の僧侶が突然現れて語ったもので、「当局者を信じるな。すべてやらせだ」などと泣きながら訴えたという。AP通信はまたラサ発で、事前に当局が設定した取材を遮って僧侶らが「チベットに自由はない」などと語ったと伝えた。

 中国外務省の秦剛・副報道局長は27日、「僧侶が何を言ったか承知していないが、(やらせとの指摘は)根拠がなく、無責任で事実に合わない」と反論した。

 今回の話がやらせかどうかは分かりませんが,中国共産党ならやりかねないと思ってしまうところが,この国の本質を表していると感じられます。昨年発生した,例のダンボール肉まんの事件の報道をやらせだとして摘発した中国捜査当局の発表そのものも,やらせだと思った人も多いでしょう。そもそも,中国人は中国共産党を全く信用していないように思われます。中国の人民は,中国共産党の国ぐるみのやらせに付き合いながらも,したたかに生きるしかないと言う状態にあるのかもしれません。

 先ごろは,中国の全国人民代表大会(全人代)のニュースが流れていましたね。その代表は日本で言えば国会議員に当たるわけですけど,その全人代の代表が記者会見に登場するという画期的なことが報道されていました。それでも,党中央の意向に反することは発言できません。記者の微妙な質問には当たり障りのない言葉で返すしかなく…。
 こうして,いつまでも壮大なやらせが続くのでしょうか。

進まぬ参議院での審議

 このところの参議院の審議について,東京新聞(中日新聞)にしてはめずらしい(?)正論がありましたので,その記事を…。

東京新聞(2008年3月21日)
記者発 審議しないための力?

 ガソリン税の暫定税率を維持するための租税特別措置法改正案が参院に送付されて三週間たつが、まだ審議入りしていない。
 各委員会は、通常国会で最初に開く委員会で担当閣僚の所信を聞く。同法案が付託される財政金融委員会の定例日は火、木曜日。与党は十八日に財金委など十一の委員会で担当閣僚の所信表明実施を求めた。しかし、民主党は同委を含む三委員会の開会を拒んだ。

 理由は「定刻」。参院の常任委員会は、午前十時か午後一時から審議を始めるのが先例。十八日は予算委員会の審議が入っており、財務相ら三委員会の担当閣僚は、開始時刻には委員会室入りできない状況だった。

 与党は、予算委の前後や昼休みなど、閣僚が予算委に縛られない時間に委員会を開催するよう求めたが、民主党は首を縦に振らなかった。
 週二回、午前十時か午後一時からしか審議をしないという主張が、国民にすんなりと理解されるだろうか。民主党の態度は、同改正案の年度内成立を阻止してガソリン値下げを実現するため、と受け取られても仕方がない。

 自民党幹部は「民主党は福田首相を追い詰めて解散させようと政局モードに入っている」と解説する。ただ、国会は法案を審議する場所だ。そして、参院審議の主導権を握るのは第一党の民主党だ。
 民主党は参院に同法改正案の対案を提出しているが、それを審議しようとする姿勢も見えない。民主党は「審議しない」ために、国民から与えられた議席の力を使っているのか。 (清水俊介)

 民主党は相変わらずですね。今回の参議院での予算関連法案の審議は,民主党にとってその存在感を示す大きなチャンスだと思っていたんですけど,租税特別措置法改正案の審議はまだですか…。昨年の参議院議員選挙では,民主党の政権担当能力への期待があったかと思いますが,その期待は見事に裏切られてしまったように見えます。
 そう言えば,国民投票法案では,民主党はその修正協議に積極的に取り組んでいたはずなんですが,民主党の意をくんだ法案が成立に向けて審議される段になって,審議拒否ということもありましたね。国民の期待を集めては裏切ることの繰り返しですか。

 最近とても気になるのが,鳩山幹事長がことあるごとに記者会見で「この結果の責任は全て自民党にある」という言い方をされることです。この言動は,北朝鮮や中国のスポークスマンがいつも発する言葉と重なって聞こえてきますね。
 民主党は参議院の第一党という立場をどう考えているのでしょうか。国民が見たいのは,何が何でも審議拒否する民主党ではなくて,問題解決に行動する民主党のはずなんですが…。とりあえず,政局のことしか頭にない執行部を丸ごと取り替えるのがいいですかね。

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