チベットでの動きが激しくなってきました…。
産経新聞(2008.3.15 13:05)
「暴動はダライ集団の策動」 中国、威嚇発砲認める 10人死亡も確認
【北京=野口東秀】中国国営新華社通信は15日、中国西部のチベット自治区ラサで14日に起きた僧侶らによる大規模暴動で10人の死亡が確認されたと報じた。ラサは15日午前現在、鎮静化したものの、厳重な警戒態勢を敷いていると報じた。また、同電は暴動鎮圧で、治安当局が威嚇発砲し、催涙弾を使用したことを確認した。
新華社電は同日、14日の暴動で多数の警察官が重傷を負ったほか、あらゆる施設などで放火や略奪が発生、石や瓶、引火性液体などを詰めたリックサックを背負った者を多く目撃したことや鉄の棒や刀類を持った暴徒がいたと伝えるなど、暴動の激しさを強調。
同電は「警官隊は武力行使しないよう命じられたが、デモ群衆を解散させるため、限られた催涙弾を使用し、威嚇発砲を行わざるを得なかった」としている。一方、同自治区のシャンパプンツォク主席は同日、当局による発砲を否定した。一方、同電によると、暴動では「関係部門が法に基づき、効果的な措置をとり、適切に事件を処理している」と述べた。これは抗議行動に参加した僧侶や住民を拘束していることを意味するとみられる。また、「暴力行為は社会秩序を破壊し、人命と財産を危険に陥れた。ごく一部の者による陰謀は消滅する運命だ」として、今後も武力鎮圧を強化する姿勢をみせた。
同電によると、チベット自治区当局者は14日、「暴動はダライ(・ラマ14世)集団が策動した。十分な証拠がある」と述べた。中国政府がダライ・ラマが暴動を動かしたと決めつけ、従来通りの強硬姿勢を貫く構えをみせたことで、インド亡命中の支持者だけでなく、自治区内の僧侶らが反発するとみられる。現地の市民は15日、産経新聞の電話に対し、「店やホテルや車やバイクなどが焼かれたが消火された。いまは落ち着きを取り戻したが、抗議行動がいつあってもおかしくない」と興奮した様子で話している。
ここに来て,中国は急激に大変な状況になっているようです。日本では毒餃子事件があってから,中国がどういう国かということが次第に認知されているような気もしますが,それでもまだまだ現実の中国は奥が深いですね。
北京五輪を目前に控えた世界の注目度を利用し,これまでチベットの弾圧についてのデモやアピールが行われてきたのでしょうが,中国政府の度を越した過剰反応によって,さらに世界から注目されてしまう事態になっているようですね。
日本は戦後,律儀なまでに平和主義を貫き通していますが,中国は建国後,一貫として軍事大国への道を歩み,常に他国との紛争を引き起こしてきました。中ソ国境紛争,中印国境紛争,印パ戦争への介入,台湾への恫喝・圧力,スーダンのダルフール紛争の助長など。国内においても,チベットはもちろん,文化大革命・天安門事件での弾圧・虐殺など枚挙のいとまがありません。最近では,東シナ海のガス田問題で日本に対する軍艦の派遣をちらつかせた恫喝の事実。さらに昨年,中国海軍幹部がアメリカ太平洋軍のキーティング司令官に対し,ハワイを基点とした「太平洋分割管理」を提案したことが明らかになっています。これはもう覇権主義の極みですね。
なんかこうやって見てみると,中国で今夏「平和の祭典」を行う予定ということが,何かの冗談のようにも思えてきます。中国にとってオリンピックを誘致したことは,これまで抱え込んでいた様々な矛盾を噴き出させることになり,世界にその姿が明らかにされるきっかけになったわけで,とんでもない失政ではなかったのではないかと…。
今年になってからは,アメリカの映画監督であるスティーブン・スピルバーグ氏が,スーダン・ダルフール問題への中国政府の姿勢を不満として,北京五輪の芸術顧問から退くという声明を発表していますね。
中国のこれからの展開は,ますます読みにくいことになりそうです。