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隠された聖火リレー

 サンフランシスコに入った聖火リレーですが,どんどんエスカレートしているような雰囲気ですね…。

産経新聞(2008.4.10 20:56)
人目はばかる聖火リレー 中国系メディア絶賛、米では厳しい視線

 【サンフランシスコ=松尾理也】北米唯一の立ち寄り地、サンフランシスコで9日、行われた北京五輪の聖火リレーは、ロンドンやパリでみられたような大きな混乱はなかった。直前にルートを変更するという当局の大胆な措置が功を奏し、沿道に抗議団体の姿はほどんどない。ただし、通常なら寄せられるはずの温かい声援もなかった。人目をはばかるように駆け抜けた聖火は、世界から厳しい視線を向けられている北京五輪の姿と重なる。

 今回の聖火リレーの出発地点は、米大リーグ、ジャイアンツの本拠地AT&Tパークに隣接する埠頭(ふとう)。チベット問題など中国の人権抑圧を非難する団体などのほか、北京五輪を支持する中国系米国人らも結集し、互いににらみ合う異様な空気に包まれた。

 当局は、リレー開始予定の午後1時直前、ルートを約半分に短縮すると発表。ほぼ同時に埠頭に最初の走者が姿を現し、トーチに採火。いよいよ走り出すかに見えた。
 ところが、パリなどでの態勢と同じく中国の警備担当者に守られた走者は、倉庫の中に姿をくらませてしまった。しばらくして複数の車両が別々の方角に走り出し、水上スキーや船舶まで出発した。裏をかく作戦は成功し、メディアまでもが完全に聖火を見失ってしまった。
 結局、聖火は当初予定されていた海沿いのコースとは離れた市役所近くの大通りに、バスから降りて登場。警官らが厳重に包囲する中、市北西部のゴールデンゲート・ブリッジに向けて走り出し、その後再びバスに戻った後、そのまま空港に直行した。
 たまたまリレーに出くわした通行人らが手を振る光景も一部でみられたが、懸命に聖火を追いかけた抗議団体側も、支援の中国関係者側も、結局追いつくことはできず、表面上はリレーは平穏に終了した。

 「市民の裏をかく」という、このサンフランシスコ市当局のアイデアと手際を激賞したのが中国政府。周文重駐米大使は、リレーが「中国系を含む米国民の熱烈な歓迎によって成功した」と満足を表明する声明を発表した。AP通信によると、中国のメディアも「抗議活動家らは八方ふさがりに陥った」「まるでハリウッド映画のようにサスペンスとドラマに満ちたリレーだった」と、絶賛する報道が目立った。

 国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長も滞在先の北京で「幸運にも状況は改善された」と述べた。だが、本来記念すべき晴れの舞台であるにもかかわらず、人目をはばかるように通り過ぎていった聖火に対し、米国民やメディアが寄せる目は厳しい。
 地元サンフランシスコ・クロニクル紙は「何という失態だ」と嘆いた上で、「サンフランシスコがいかに政治的な反対意見を尊重する街かということを示す絶好の機会だったのに、市はその機会から逃げ出した」と手厳しく非難した。

 米ゾグビー社の最新の世論調査によると、五輪開会式をボイコットすべきだと考える米国人は全体の48%に上り、出席すべきとする33%を大きく上回った。また、中国は五輪開催にふさわしくないとの回答は70%の高率に達している。
 サンフランシスコのニューソム市長はこの日、「事故がなかったという意味で、リレーは成功だった」と述べたが、その強気の言葉とは裏腹に、五輪への批判は一層高まる気配だ。

 直前にコースを変更したということですが,観客には全く知らされていないわけですよね…。何のために聖火リレーをやっているのかよく分からなくなってきました。こんなことで喜べる中国系メディアは,それこそオリンピックの精神を理解していないということなんでしょう。いったい聖火リレーに何を期待しているんでしょうね。

 中国にとって今の状況は,聖火リレーを続行しても面子丸つぶれ,中止しても面子丸つぶれという,八方ふさがりといった様子です。そろそろ,平和的解決へ向けた話し合いに応じる姿勢にはならないんでしょうかね。まぁ,それができれば中国ではないような気もしますが…。

 ほんの2か月前には,こんな状況になるとは思いもよりませんでしたね。長野での聖火リレーも近づいていますが,その出発地点となっている善光寺にとっても大いなる苦悩があると思われます。JOCでは,リレーのコース変更への言及もあるようですが,そんな事情も踏まえているのかもしれません。

 これからさらに活発な動きがあるかと思いますが,とりあえず,あの悪名高い中国の聖火警備隊とかいう集団の実力行使は認めないと,警察庁が方針を示したのは結構なことだと思います。

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