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映画「靖国」の問題

 最近,話題になっている映画「靖国 YASUKUNI」ですが,映画に登場する刀匠と監督の言い分が随分食い違っているようで…。

産経新聞(2008.4.10 18:05)
「マイナスイメージない」 映画「靖国」監督が会見

 靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止問題で、李(リ)纓(イン)監督が10日、東京都千代田区の参議院議員会館で会見し、「日中合作という国際化の成果の作品で、日本の国際的イメージにとってマイナスになるものではない」と強調した。

 会見は李監督のほか、ジャーナリストや映画監督ら上映中止に抗議する14人が出席。李監督は上映中止の動きについて「3月末に(4月公開予定の)全映画館が中止を決め、びっくりした。どのような圧力があったか分からないが、理解しにくい」と訴えた。

 会見では、作品に登場する靖国刀匠、刈谷直治さんが自分の映像を削除するよう求めているとされる報道にも言及。「作品を去年4月に刈谷さん夫婦に見せに行き、了承してもらった。今年2月にチラシを見せたところ、刈谷さんは喜んだ。またパンフレット用に“誠心誠意”の言葉もいただいた」と理解を得たことを強調した。

 その上で「まだ刈谷さんからの連絡はない。(刈谷さんに)どんな圧力があったのか。作品が成立できなくなるよう働きかけられたとしか受け取れない」と懸念を示した。

朝日新聞(2008年04月10日)
「思った趣旨と違う」 映画「靖国」に出演の刀匠

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」をめぐり、映画の中心的な登場人物で、高知県内に住む刀匠(90)とその妻(83)が10日、朝日新聞の取材に、「思っていたのと違う趣旨で映画が作られていて、『靖国問題』に巻き込まれてしまった」と話し、出演場面の削除などを希望した。

 刀匠によると、05年に李纓(リ・イン)監督側から「出演依頼」の手紙が送られてきた。戦後、伝承されなくなってしまった靖国刀の最後の刀匠として取り上げたい、という内容だったという。刀匠は承諾し、李監督は靖国刀を制作している場面などを撮影した。

 その後、李監督らが自宅に来て映像を見せてくれたが、靖国神社に参拝する小泉首相(当時)とそれに反対する人たちに交じって、刀を作る映像が流れていたため、「これでは撮影を受けた趣旨と違っている」と出演場面と出演名の削除を頼んだという。

 今年3月に自民党比例区選出の有村治子参院議員から、「国会で映画を審議しているからどのように考えているのか意見を聞きたい」という電話があり、刀匠は「出演していることが本意ではないので、名前と映像を省いてほしいし、完成品を見せてほしいと思っている」と伝えたという。

 今回の映画について、刀匠は「靖国刀の伝統技術や美術品としての価値を後世に伝えてくれるものだと思っていた。『靖国問題』と結びつけるものだとは、まさか思っていなかった」と話している。

 この件については,以前から問題とされていましたけど,メディアでなかなか取り上げられなかったので,放置されていたような感じです。上映中止の判断には,イデオロギーよりも肖像権の問題が影響しているのではと勘ぐってしまいますね…。

 先日の国会での有村治子参院議員の質疑においては,映画「靖国」のポスターに大きく登場している自衛官の画像が,靖国神社において無断撮影されたものを本人に無許可のまま使用しているものだということも指摘されていましたが,この件はどうなったんでしょうか…。

 政治的なメッセージを持つとされるこの映画が,文部科学省の独立行政法人である日本芸術文化振興会の補助金を得ているという指摘が発端となっている面もありますけど,言論の自由や思想の自由を叫ぶ前に,筋を通すべきことがあると思いますけどねぇ。困惑

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