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JR湖西線の駅名変更

 前回の寝台列車の件に続き,JRのダイヤ改正に伴う変更の話題です。
 京都市の山科駅から琵琶湖西岸を通って北陸線につながるJR湖西線の駅のうち3月15日のダイヤ改正に合わせて2つの駅の名称が変わります。一つは「雄琴駅」から「おごと温泉駅」へ,もう一つは「西大津駅」から「大津京駅」への変更です。この変更は地元の要望からのものですから,大津市はこれに伴う費用をJRに支払っています。私が払った税金も関係するということで,少し興味があったりして…。微笑

 まず「おごと温泉駅」です。この駅の近くには雄琴温泉があって,もっと温泉地であることをアピールしたいということで今回の変更となったそうですな。駅名を変えるのは結構なことだと思いますが,地名の「雄琴」がひらがなになっています。今回,温泉地のアピールのために,駅前に「おごと温泉 六角足湯」という足湯の施設を新たに建設しました。…あ,これも「おごと」ですね。駅名に合わせたのかな…。そう言えば「おごと温泉観光協会」もひらがなでした…。微笑

 日本全国では平成の大合併のときに,ひらがな名の自治体が大量に発生しました。この背景には,都市名を柔らかいイメージにしたいとか,対等合併の際にもともと同じ名称の漢字の自治体名があって,それをそのまま使うと吸収合併みたいでイヤだとか,色々理由があったかと思います。ただ,漢字の地名というのは漢字そのものに意味があることが多いので,ひらがなの地名に変えてしまうことには,地名のもつ歴史的な背景や意味を失わせてしまうという欠点があります。

 雄琴という地名は,このあたりに平安時代の貴族であった今雄宿禰の荘園があって,その「雄」の字とその邸宅から聞こえていた琴の音から来ているそうです。現在の雄琴駅前には「琴のしらべ」という噴水があり,これは当然のことながら雄琴の由来をイメージしたもので,琴の意味を大切に考えたものでしょう。
 それでも,関西で「雄琴」と言えば,風俗街をイメージする人が多いので,それを嫌って「おごと」にしたのかな…という推測はできますけどね。しかし,風俗街のあるところは温泉街とは明確に区別されていますし,昨今は衰退傾向にあるかと思います。そもそも風俗街があるところの地名は「雄琴」ではありませんしね。という訳で,個人的には「雄琴温泉」という駅名がよかったなぁ…と思ったりします。まぁ,今さらなことなんですが。滝汗

 もう一つ駅名が変わるのが「西大津駅」。新しく変わる「大津京」という駅名について,ちょっとした論争があるようです。古代に大津京があったとされているこの駅の周辺ではこれまで発掘が行われていたので,それが「大津京」への駅名変更の根拠となった訳ですが,それに反対する研究者によると,それはそもそも天皇の御座所である「大津宮」であって「大津京」ではないということです。「京」の特徴としては,碁盤目状の区画があることだそうなんですが,この地ではそれは見つかっていないということが理由みたいですねぇ…。街の体裁を表す碁盤目状の区画がなければ「大津京」とは言えないということなんでしょうかね。まぁ,「京」には碁盤目状の区画はいらないとする研究者もいるそうなんで,これからさらに論争が続くことになるようです。

 「大津京」の論争については今後の展開にまかせて,私としては,とりあえず今回の駅名変更が地元の振興につながればいいかな…という感じです。今まで「西大津」で慣れているので,そういった違和感はありますけど…。でも,論争の結果によってはまた駅名変更になったりして…。笑顔

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